進む教育の「ICT(デジタル)化」の中で見直される「そろばん」
今までは、紙の教科書やノート、チョーク、黒板を使って授業をするのが普通でしたが、ICT化によって、紙の教科書がデジタル教科書に、チョークと黒板が電子黒板に、ペーパーノートがタブレットに替わる。このような変化が、まさに今起きています。
ただ、教育のICT化は国際的にもスタンダードですが、デジタルではプロセスがカットされてしまうため、子どもが主体的に物事を考える力や、想像力、基礎学力などの低下を招く恐れがあると有識者の間で指摘されています。デジタル社会においては、そのリスク解決のために究極のアナログと言われている「そろばん」をもう一度評価しようという流れも生まれてきています。
そろばんの大きな特長のひとつは、プロセスがしっかりと見えることです。つまり、そろばんを使った計算方式は、計算のロジックを子どもたちに理解させるために非常に有利であり、これは学会でも定説となっています。
さらにそろばん学習は、日々トレーニングを積み上げていきますので、それにより身に付く忍耐力や向上心が、学習全般に大きな影響を与えると考えられています。
そろばん学習は脳を鍛え、能力をアップする
そろばんには様々な利点があり、それを裏付ける大学の研究や実験も行われています。その一つが脳の前頭前野の発達です。そろばん学習を通じて、前頭前野が発達することで情緒が安定し、なおかつ学習意欲の向上がはっきりと見られました。これは、そろばん学習をおすすめする一つの根拠となると考えています。
※前頭前野とは…脳にある前頭葉の前側の領域で、脳の活動性の調節に重要な役割を果たしており、記憶や学習と深く関連しています。
そろばん力は、未来も活きる
デジタル化は、さまざまな領域で加速するでしょう。小中学校、高校も含めて、教育環境も大きく変化すると思われます。その時に、子どもたちの主体的に物事を考える力、思考力を育むために、そろばん学習が果たす役割は、今以上に大きくなるのではないかと思います。